海外安全性情報速報
JAPIC Pharma Report 海外医薬情報（速報）

No.1169　2019年2月7日発行

安全性情報

皮膚マラコプラキア：１症例の報告 Cutaneous Malakoplakia

Thomas Gliddon（Sir Charles Gairdner Hospital，Nedlands／Australia），ほか N. Engl. J. Med. 380（6）580／（2019．2．7） 患者は，免疫抑制薬としてtacrolimus，mycophenolate mofetil，prednisolone，methylprednisoloneの投与を受けていた。

鉄静注に対する過敏症反応の比較：Iron Isomaltoside-1000（Monofer）対Ferric Carboxy-Maltose（Ferinject）；単施設コホート研究 Comparison of hypersensitivity reactions of intravenous iron: iron isomaltoside-1000 (Monofer) versus ferric carboxy-maltose (Ferinject). A single center, cohort study

Midas B. Mulder（Franciscus Gasthuis & Vlietland，Rotterdam／Netherlands），ほか Br. J. Clin. Pharmacol. 85（2）385－392／（2019．2）

Gemcitabine使用に関連した血栓性微小血管症：フランスでの全国的後ろ向きコホート研究におけるプレゼンテーションと転帰 Thrombotic microangiopathy associated with gemcitabine use: Presentation and outcome in a national French retrospective cohort

Florence Daviet（Aix-Marseille University，Marseille／France），ほか Br. J. Clin. Pharmacol. 85（2）403－412／（2019．2）

AprepitantとOpium散剤による悪夢と幻覚：薬物相互作用の可能性；1症例（高齢者）の報告 Nightmares and hallucinations with aprepitant and opium powder: a suspected drug-drug interaction

Gregoire Narjoux（CHU Reims，Reims／France），ほか Br. J. Clin. Pharmacol. 85（2）454－456／（2019．2）

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症患者におけるステロイド（Prednisone）中止がもたらしたVoriconazole肝毒性：薬物相互作用が示唆された1症例（高齢者）の報告 Voriconazole hepatotoxicity as a result of steroid withdrawal in a patient with allergic bronchopulmonary aspergillosis

Sara Blanco-Dorado（University Clinical Hospital Santiago de Compostela (SERGAS)，Santiago de Compostela／Spain），ほか Br. J. Clin. Pharmacol. 85（2）460－462／（2019．2）

Monthly Recap of Health Product Safety Information

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） 2018年12月に医療専門家および消費者に対して行われた勧告や安全性レビューの概要。VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤による動脈解離／動脈瘤，経カテーテル大動脈弁置換術患者におけるXarelto（rivaroxaban）による全死因死亡および血栓塞栓性／出血性イベントの増加などについて記載。

Review article：hydrochlorothiazide（HCTZ）の長期使用と非黒色腫皮膚癌（NMSC）のリスク

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） 関連するエビデンスにおけるHealth Canadaのレビューは，HCTZの長期使用によるNMSC発現の潜在的リスクが存在すると結論付けた。しかし，全てのレビューした研究には限界が記載されていたため，不確かな点がある。HCTZの光増感作用がメカニズムである可能性が高い。HCTZ含有製品を使用している患者は，NMSCの潜在的リスクについて情報提供を受け，既存の病変の変化や新たな病変について皮膚を定期的にチェックするようアドバイスを受けるべきであり，疑わしい皮膚病変を報告すべきである。医療専門家は患者に対し，日光への曝露を制限し，日光から皮膚を守ることにより（SPF 30以上の日焼け止め，衣類や帽子で覆うなど），日常的にsun-safetyを実施すべきである。また，日焼け機器の使用は避けるべきである。特にNMSCのリスクが高い患者（淡色の皮膚，皮膚癌の既往歴あるいは家族歴がある，免疫抑制療法を現在受けているなど）については，HCTZの代替を検討することなどについて記載。

Vaccine Safety Biannual Summary：2018年1月1日～6月30日の報告

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） 同期間中，Canada Vigilance Programはワクチンが引き起こした疑いがある免疫後有害事象の報告を331件受けた。重篤な報告は205件（62％）であった。報告（重篤および非重篤）数が最も多かったのは帯状疱疹ワクチン（50%）であり，次いで肺炎球菌ワクチン（15％）およびインフルエンザワクチン（9%）であった。転帰死亡であった報告が4件存在し（全て女性），1件はインフルエンザワクチン，1件はShingrix（herpes zoster vaccine）についてのソーシャルメディアの報告，2件はGardasil（human papillomavirus vaccine）についての報告であった。最も高頻度に報告された有害事象（重篤および非重篤）は，帯状疱疹，予防接種の効果不良，発熱，疲労，疼痛であった。新たな安全性のシグナル（安全性の問題の可能性）は同期間中に特定されなかったことなどについて記載。

製品モノグラフの更新：Biaxin BID，Biaxin XL，Biaxin（clarithromycin）

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） Biaxin BID，Biaxin XLまたはBiaxinの使用は現在，domperidoneとの併用療法において禁忌とされている。macrolidesによる心血管系の有害転帰のリスクに関するこの情報および更新情報が，Biaxin BID，Biaxin XLおよびBiaxinのカナダ製品モノグラフの禁忌，警告および使用上の注意，薬物相互作用および患者投薬情報の項目に追記された。macrolidesによる心血管系の有害転帰のリスクを調査した疫学的研究は，様々な結果を示している。研究により，clarithromycinを含むmacrolidesに関連する不整脈，心筋梗塞および心血管による死亡のリスクが確認されていることなどについて記載。

製品モノグラフの更新：Lamictal（lamotrigine）

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） Lamictalのカナダ製品モノグラフの警告および使用上の注意，および消費者向け情報の項目に，ブルガダ型心電図のリスクが追記された。不整脈原性ST-T異常および定型ブルガダ型心電図のパターンの症例が，lamotrigineの治療を受けた患者で報告されている。lamotrigineの使用は，ブルガダ症候群患者において慎重に検討されるべきであることなどについて記載。

製品モノグラフの更新：Revlimid（lenalidomide）

Health Product InfoWatch（January 2019／10pp） Revlimidのカナダ製品モノグラフの警告および使用上の注意，副作用（市販後医薬品副作用）および消費者向け情報の項目に，進行性多巣性白質脳症のリスクが追記された。死亡例を含む進行性多巣性白質脳症（PML）の症例が，dexamethasoneを含む免疫抑制療法とlenalidomideの併用で報告されている。PMLが疑われる場合は，PMLが除外されるまでlenalidomideの追加投与を中止すべきである。PMLが確定された場合は，lenalidomideを恒久的に中止すべきであることなどについて記載。